上司いじめには、気に入らない上司・先輩に対して、自分が不快と思ったらすべてハラスメントだと訴えるケースがまま見られます。

 いわゆる「ハラスメントハラスメント(ハラハラ)」と称されるものです。

 しかし、これでハラスメントが認定されてしまうと、上司は萎縮して適切なマネジメントを行えず、組織の服務規律※が成り立たなくなります

 この点から見てもパワハラは「平均的な労働者の感じ方」を基準に据えて、判断することが重要なのです。

【用語解説】※服務規律:法律で義務化されたものではないが、従業員の認識を統一し職場の秩序を維持するために定められた従業員の義務やルールであり、就業規則に記載するのが一般的。服務規律の内容は会社により異なるが、会社設備の利用方法、身だしなみ、SNSの利用についてなど多岐にわたる。

「パワハラ」の可能性がある
言動の具体例

 パワハラに該当する可能性がある言動は、【図1-4】のとおりです。とはいえ、「可能性がある」というだけで、これらの言動が必ずパワハラに当たるというわけではありません。

図1-4:パワハラ6類型同書より転載 拡大画像表示

 暴行・傷害は、パワハラのなかで最も強い行為(パワハラ6類型のうちの「(1)身体的な攻撃」)に当たり、「服務規律違反」など企業秩序を乱す問題行為として懲戒処分の対象となり得ます。