成年後見人は
なぜ批判されるのか
冒頭で触れたが、今年放映された成年後見人に関する報道が大きな話題となった。放送では、被後見人に対する支出が大きく制限されることや、成年後見人の報酬の実態などが明らかとなった。成年後見人による預貯金などの着服問題もあわせて放映されたため、制度への批判が噴出している。
成年後見人への不満は上記に留まらず、使いにくい制度としても知られている。
まず、柔軟な資産運用はできなくなる。財産は維持を目的に管理するだけであり、投資などの行為で増やすことはできなくなるからだ。
また、家庭裁判所が選んだ成年後見人と家族との意思疎通が上手く進まず、対立することも多い。成年後見人は一度選出されると、特別な事情が認められない限り外すこともできない。相続時に必要となった場合、相続手続き完了後も成年後見人を外せないのだ。こうした制度の難点に加えて着服などの不祥事も重なり、制度そのものが批判されるに至ったのだ。
成年後見人が
厳しい財産管理を行う理由
成年後見人が被後見人の同居家族の支出に対して、厳しい意見を伝えることがある。この部分はRKB毎日放送の番組でもクローズアップされていたが、なぜこのような厳しい管理が行われているのか。
実は、同居家族が被後見人の財産に頼って生活してしまうケースがあるのだ。家族が被後見人の財産を必要以上に費消しかねないため、選ばれた成年後見人は厳しく資産を管理し、時には家族に指導をせざるを得ない。財産の状況は定期的に家庭裁判所への報告義務もある。
成年後見人は「被後見人の資産を守る」ことが重要な仕事だが、家族は被後見人も含めた「家族の暮らしを守る」ことを求めるがゆえに、成年後見人と家族は時に対立するのだ。この対立を避けるためには、双方の歩み寄りが大切である。