自分が認知症になったらどうする?
家族のためにできる備えとは

 自身が将来認知症になることを想定すると、どのような相続対策ができるだろうか。家族に財産を残したいと考えているなら、自身が認知症になる前に贈与を開始することが大切だ。認知症の症状が出てから開始された生前贈与は無効となるおそれがある。相続対策も認知症になると進まなくなってしまうため、早期の贈与も検討しよう。

 加えて、任意後見制度を知っておくこともおすすめだ。任意後見は本人の判断能力が十分なうちから、将来に備えて任意後見人を自身で選んでおける。契約は公正証書で取り交わすため安全性が高く、契約内容は柔軟に変えられる。任意後見人にはできない業務もあるが、任意後見契約の内容に「遺産分割協議の代理」を加えておくことで、相続時にも相続人の代理人として参加できる。

 生前にできる相続対策は多く、早めに活用することで成年後見人を立てることを回避する効果もある。特に事業継承や不動産の多い相続は複雑な手続きが多く、相続開始後に頭を抱える相続人も少なくない。株式や不動産を誰に相続するのか、生前からの対策を税理士とともに進めてほしい。早期の相続対策は、二次相続への備えにもなる。

 本記事では成年後見人の問題点について、メリットも交えながら解説した。成年後見人が必要となるご家族は、今後も増える可能性が高い。ぜひ本記事内でも紹介したように、贈与や任意後見の必要性を家族内でじっくり話し合い関心を深めてほしい。

 備えあれば憂いなし、万が一に備えて今できることを始めよう。