近年、「頭の回転の速さの象徴」としてお笑い芸人が多くの場面で活躍をしている。そんなあらゆるジャンルで活躍をし続けるお笑い芸人たちをこれまで30年間指導し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも話題になった伝説のお笑い講師・本多正識氏による『1秒で答えをつくる力』が人気を博している。ナインティナインや中川家、キングコング、かまいたちなど今をときめく芸人たちをこれまで1万人以上指導してきた本多氏の仕事に対する考え方をオリジナル記事としてお届けする。

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職場を明るくする人がやっていること

 皆さんのまわりには、その人がいるだけで職場が明るくなるような人はいますでしょうか。こういった人が1人いるだけで、職場の雰囲気はよくなり、コミュニケーションも増えます。

 そんな、「職場の空気を明るくする人」は一体なにが違うのでしょうか。一緒に見ていきましょう。

 この、「空気を明るくする」行為はお笑いの世界にも存在します。その代表例が「前説」というものです。

 前説とは舞台やテレビ収録などでお客さんに対し、本番に向けて場を温めるために若手芸人などが注意事項を伝えながら簡単なネタを披露することです。ネタを交えながら注意事項等を説明し客席をいい空気に温めます。

 前説がなければ、本番をスムーズに進めることはできません。なぜなら、多くの人にとって笑うということはハードルが高いからです。皆さんも家でおもしろいことがあったときは大きな声で笑えるかと思いますが、それが外出先や電車の中だったらどうでしょうか。なんだか笑いたいけど笑いづらい雰囲気がありますよね。それは、その場が笑っていい場所かわからないからです。

 前説はこういった人が無意識に感じていることを取り除くためにあります。劇場であろうが、スタジオであろうが、隣の席には知らない人が座っていますから、どこか声を出して笑うのが恥ずかしい気持ちになりますが、それを前説で慣れさせるのです。もちろん、最初から大笑いはないですが少しずつ会場の空気はほぐれていき、本番がはじまる頃には誰もが笑えるようになります。

 とはいえ、ビジネスの世界に前説文化はないですから、職場ではどのようにしたらいいのか紹介できればと思います。