健康保険に加入すると給付される
二つの手当金とは?

 雇用形態の変化は90年代から始まっていたが、短時間労働者の社会保障の整備は不十分なままで、それが格差を広げる一因になっている。短時間労働者を社会保険に包括し、労働者全般のセーフティーネットを強化する必要性は高まっている。

 また、超高齢社会で社会保障を維持していくためには、保険料を負担する支え手の増加も必要だ。そこで、2012年の法改正で、社会保険の適用範囲を拡大していくことが決まったのだ。

 短時間労働者への社会保険の適用拡大は、従業員数(フルタイムの従業員+所定労働時間がフルタイムの4分3以上の従業員)に応じて段階的に進められてきた。

 まず、2016年10月に従業員数501人以上の企業が対象となり、22年10月には従業員数101人以上の企業に拡大された。そして、24年10月からは従業員数51人以上の企業にも適用されることになった。

 対象になる労働者は、1週間の労働時間と1カ月の労働日数が正規雇用の人の4分の3以上(週の労働時間が30時間以上)という基準に加えて、現在は次の4つの要件をすべて満たしている人となっている。

 (1)週の労働時間が20時間以上
 (2)月額賃金8万8000円以上(年収106万円以上)
 (3)勤務期間2カ月以上の見込み
 (4)学生ではない

 24年10月からは、従業員数51人以上の企業で、この4要件をすべて満たしている短時間労働者は社会保険に加入することになり、充実した保障も受けられるようになる。

 まず、労働者のための健康保険に加入すると、国民健康保険や被扶養者にはない「傷病手当金」「出産手当金」という二つの給付を受けられるようになる。