興味を持つのは、それほど難しいことではありません。興味を持つことで、相手のことを考えるようになります。相手のことを考えることで、共感が生まれます。お互いが共感を持つことで、分かち合うことが始まります。それが温かい社会、幸せな社会への第一歩だと思っています。

 私たちは1人で生きていけませんし、幸せにもなれません。仮に、家から一歩も出ずに稼いでいるという人がいたとしても、パソコンの先には取引先がいるし、食べ物や生活用品を配達してもらっていることで、その暮らしは成り立っているはずです。

書影『森と算盤 地球と資本主義の未来地』(大和書房)『森と算盤 地球と資本主義の未来地』(大和書房)
渋沢寿一 著

 私たちは地球で育まれたものを食べ、住処を作り、エネルギーを得ています。それは未来もきっと変わることはないでしょう。この有限な地球で生きていくしかないからこそ、持続可能な社会を、お題目ではなく、本当につくらなければなりません。

 今回は、持続可能だった暮らしの一例として鵜養や江戸の暮らしを紹介しましたが、都会が悪くて田舎が良い、あるいは今がダメで昔が良かった、という話ではありません。

 過去に学んだ上で、これからの持続可能なかたちを模索していく必要があるということ、その模索こそが、地球の未来を希望あるものに変えていける根本的な解決方法だと私は信じています。