職場には「声をデカくするべきタイミング」がある

 さてここで質問です。あなたの職場で、「声をデカくするべきタイミング」がもしあるとすると、それはいつでしょうか?

 僕のいるメガバンクのようなJTCでは、その1つとして、「保険が必要な場合」というのがあります。

 この“保険”は、職場における「証人や証拠」を意味します。たとえばJTC(=伝統的日系企業)では上司がハシゴを外してくることがあります。僕が勤めるメガバンクでも、直属の課長が最初は僕の肩を持ってくれてたのに、急に支店長の前で真逆のことを言い出すなんてことを何度も経験してきました。

 このようなハシゴ外しが割と発生しやすいJTCの現場では、周りに証人を作っておく必要があります。

周囲に「自分と上司の会話」の証人になってもらえる

 その際に生きるのが大きな声です。上司がハシゴを外す前に、そのハシゴを固定できるように同僚が周りにいる場で、上司と自分が同じコンセンサスで同意していることが分かるように確認の会話をするのです。「賛同いただきありがとうございます!!」とでも大声で言えば、周りの同僚たちは少なくとも上司が部下の案に乗ってくれたことだけは理解できます。

 このように、声の大きさは、自分の存在感を高めることにも自分の身を守るためにも利用できるのです。職場で自分の評価を高める人は、こういった「声の大きさ」を、意識して利用します。

 これは仕事の中身ではなく「見せ方」の差だけなので労力もそこまでかかりません。逆に、小さな声で仕事をしただけで損をしてしまうのであれば、頑張り損になってしまいます。

 常に大きい声で話すのではなく、戦略的に大きな声を張ることがコスパよく出世するための技の一つです。同じ労力で真面目に働いて損をするくらいなら、こういった取れる「周りの評価を取る」タイミングは有効活用していきましょう。

(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の著者が書き下ろした特別な原稿です)