退職者のイメージを変えるためにできること

 退職者は裏切り者ではない。
 
そのイメージを、あなたの半径5m以内からでも変えていこう。そのためにできることを3つ紹介する。

 ①アルムナイ・ネットワークの考え方を広める
 アルムナイ・ネットワークの考え方、そしてすでに日本でも退職者との関係を良好に保ちつつ復職、採用、複業・兼業などが有効に機能している企業が増えている事実を、ぜひ職場の人たちに話してみてほしい。

 ②あなたが退職者をリスペクトする
 何よりあなた自身が退職者をリスペクトする。退職が決まった人に丁寧に接する。明るく送り出す。退職者がもたらしてくれた良いことを感謝の気持ちを持って周りに伝える。たまには一緒に食事でもして、その様子を職場の人たちに楽しく話す。そんな小さなところからでかまわない。

 ③「悲しいです」と言う
 退職者に対する塩対応は、在職しているあなたたちをも不安にさせる。その気持ちをやんわり、周りに伝えよう。

「私も退職したら裏切り者扱いされるんですかね、それは悲しいな……」

 その一言で、はっとする人もいるだろう。

 人生100年時代、同じ職場で一生勤めあげる人の方が珍しい時代にすでに突入している。退職は、明日は我が身。決して他人事ではない。自分たちも退職しやすい環境を創っていこう。人々がさわやかに組織を行き来する。そんな流動性ある社会を、ともに創っていこう。

一歩踏みだす!

 ・アルムナイ・ネットワークの考え方と効果を職場で話す
 ・あなた自身が退職者をリスペクトする
 ・裏切り者扱いする姿勢を「悲しい」と伝える

(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

沢渡あまね(さわたり・あまね)
作家/企業顧問/ワークスタイル&組織開発/『組織変革Lab』『あいしずHR』『越境学習の聖地・浜松』主宰/あまねキャリア株式会社CEO/株式会社NOKIOO顧問/プロティアン・キャリア協会アンバサダー/DX白書2023有識者委員。日産自動車、NTTデータなどを経て現職。400以上の企業・自治体・官公庁で、働き方改革、組織変革、マネジメント変革の支援・講演および執筆・メディア出演を行う。『チームの生産性をあげる。』(ダイヤモンド社)、『職場の問題地図』(技術評論社)、『「推される部署」になろう』(インプレス)など著書多数。