WBCの決勝戦で、最後に大谷翔平選手がトラウト選手から三振をとった瞬間、帽子とグラブを投げたのって、本当に惚れ惚れしましたけど、あれはやっぱり国を背負って戦ったからこそ出てきたパフォーマンスだと思うんです。
でも最近は、かけっこでも全員手をつないでゴールするとか、絵本は、鬼退治はしないで鬼と仲直りして終わるとか、勝負や争いごとを極端に回避するような教育になっている。教育現場から勝負の厳しさが排除されているとすると、子どもたちの潜在能力を最大限に引き出す機会が失われるということだから、それは罪なことかもしれない。
インターナショナルスクールの教育などを見ると、たとえば演劇教育で『シンデレラ』をやるとなったら、ガチでオーディションをやるわけです。そうするとシンデレラをやりたくて、子どもたちは本当にいっしょうけんめい準備し、努力してくるんですよ。必死でがんばったとき、潜在能力が引き出されるし、ぎりぎりのところで戦っているから美しいんですよ。
もちろん選ばれるのはひとりだから、落ちた子たちは涙を流すんだけれど、それを通して、勝負のあやを学ぶというか、努力しても負けることがあるんだと学ぶことは大事だと思いますね。