「せっかく本を読んでも何も残らない。何も変わらない」。そんな時間だけを浪費してしまう「無意味な読書」をしている人も多いはずだ。そんな非生産的な読書から抜け出し、1冊1冊の読書を血肉化するにはどうすればいいか? その方法を教えてくれる韓国発の読書術本『コアリーディング たった1冊読んで人生を変える読書術』が刊行される。せっかく読んだ本が100%意味あるものになる「本の読み方」とは? 今回は、本書の一部を紹介していく。

読書で「人生を変える人」と「何も得られない人」。その差を生み出す「本の読み方」の違いPhoto: Adobe Stock

読書で人生を変えた大学教授の話

 私は、書店に行くのが好きだ。書店ならではの光景と本の香りに引かれるからだ。

 ある日、書店を訪れ、平積みになっていた一冊の本がたまたま目に入った。そのタイトルは『自己啓発書を読んでベンツを買った話』だ。

 だまされたつもりで自己啓発書通りに生きてみたら、それ以来、私の人生にベンツとタワーマンションが加わった。

 本の裏表紙に書かれていたこの文句に目を奪われた。これは、大げさな釣り文句だろうか? 疑問に思い、本を開いて著者の略歴を調べた。

 著者のチェ・ソンラクは、ソウル大学を卒業し、行政学博士、経営学博士号を取得した後、執筆当時、東洋未来大学の教授を務めていた。名門大学出身の大学教授だが、周囲の人たちに比べてそれほど経済的に豊かではなかったという。プロローグにはこんな一節もあった。

 勉強ができることと経済的に豊かに暮らすことにはあまり関係性はない。良い大学に通うこと、良い職場に入社することもやはりあまり関係がない。
 もちろん食べてはいける。中間層として生きていくことはできる。
 でも、ベンツに乗れるわけではない。

 チェ教授の独白が私の胸に一石を投じた。彼がこの本の中でどんな話をするのかが気になった。

 チェ教授によると、自己啓発書の多くが同じようなことを語り、以前の自分はただその本を読むだけだったと言う。ところが、ふと「自己啓発書の言う通りに一度やってみよう」と思いつき、本に出てきた方法をかたっぱしから実践し始めたというのだ。

 彼は自分だけのウィッシュリストを作り、最終的にそれをすべて成し遂げた。

ただ読むのではなく、「自分だけの核心」を探しながら読む

 なぜ彼は、ソウル大学の修士号・博士号を取ってもかなわなかった夢を、自己啓発書を読むことで実現できたのか? 

 それは、コアリーディングを実践したからだ。

 チェ教授は、「なぜ自分は高学歴なのに、周囲の人たちより必ずしも経済的に豊かに暮らしていないのか?」という問いを認識した後、自己啓発書を徹底的に読みまくった。そして、自分の問いを解決するために役立つ最も核心的なことを本から探し出し、人生に適用することで変化を引き起こした。

 これこそ、まさにコアリーディングである。本はただ読むのではなく、自らの問題を解決する「核心」を探しながら読むことが重要だ。そうすれば人生に変化を起こせる。

 これは、もちろん私たちも実践可能だ。彼と同じようにやれば、将来の競争力を確保するだけでなく人生を右肩上がりに進める。自分が抱える問題を解決する「核心」を本から見つけ出し、速やかに実行することで、問題を一つずつ解決していこう。

(本記事は、『コアリーディング たった1冊読んで人生を変える読書術』(パク・サンベ著、村山哲也訳)の一部を抜粋・編集したものです)