日銀は、為替レートは、金融政策の目標ではないとしている。しかし、対外的な通貨価値の安定は、金融政策の最も重要な目的であるはずだ。為替レートの水準を金融政策の重要な目標として意識する必要がある。
日銀は、YCC(編集部注/イールドカーブ・コントロール)を廃止するとしながら、必要に応じて国債の買い入れを行なうとしており、金利抑制策を実施する可能性を否定していない。こうした方向づけを見直し、長期金利を完全に市場の実勢に委ねる中央銀行本来の金融政策に戻るべきだ。
円安がもたらす企業利益増は
消費者の犠牲で生じたもの
また、あるべき長期金利の水準についての見通しを示す必要がある。現在の日本の金利は、適切な水準に比べて低すぎると考えられる。
物価上昇率が高くなれば、それに応じて名目金利も上昇する。物価上昇率2%台が続くのであれば、長期金利は、潜在成長率+2%程度にならなければならない。
内閣府「中長期の経済財政に関する試算」の成長実現ケースでは、長期金利は2032年以降、3%台になるという見通しになっている。こうした状態を目標値にするのが、1つの考えだ。