ニホンザルはヒト以外の霊長類の中では、世界で最も北に生息しており、青森県下北半島に棲むニホンザルは「北限のサル」として国の天然記念物に指定されている。彼らには我々ヒトの親指程度の長さのしっぽしかないが、その短いしっぽは寒い気候への適応だろうと言われている。
「寒い地域=しっぽが短い」ではない
しっぽのミステリー
ただ、そう簡単に全て説明できないのが、しっぽのミステリアスなところだ。顔だけで見分けるのは困難かもしれないほど全体的な外観は似通っているサルたちであるが、しっぽの長さはずいぶんと異なる。
たとえば、マカク属と呼ばれるグループに含まれる霊長類には、カニクイザル、アカゲザル、タイワンザル、ニホンザルというサルたちが属している。
彼らは東南アジアから東アジアにかけて棲んでおり、この4種の中で最もしっぽが長いのはカニクイザルである。カニクイザルより高緯度、ニホンザルより低緯度地域に生息するアカゲザルのしっぽは、長くもなく短くもなく中くらいだ。ここまでは先ほどのアレンの法則に順当に従っているように見える。
だが面白いのは、その名の通り台湾に棲んでいるタイワンザルだ。