夏休みが終わればいよいよ入試に向けての仕上げの時期にはいってきます。どのようにして最終的な志望校を確定するのか、過去問はどのように進めればよいのか? 塾がお膳立てしてくれる最難関校はともかく、それ以外の学校を志望している子の親御さんは意外に情報がないといいます。子どもを本当に伸ばしてくれる志望校の見極め方や選び方、その志望校に合格するための効果的な「過去問対策」をやり方を、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』から抜粋して、そのノウハウの一部をご紹介します。
子どもが向いている問題形式は「模試」でわかる!
お子さんがどのような問題形式に向いているかは、模試である程度判断がつきます。
日能研(全国公開模試)と四谷大塚の模試(合不合判定テスト)を受けると、お子さんがどちらに向いているかを、ある程度つかむことができます。
ただし、P.202でもお話ししたように、模試にも慣れが必要です。模試によって、用紙のサイズ、テストの製本の仕方、解答用紙の様式、問題を解くスペース量などが異なり、初めての模試では「どこに受験番号を書けばいいんだろう?」というレベルから戸惑うこともあります。
模試によって大きく異なる国語
算数は模試を受ける母集団と難度によって偏差値が変動しますが、国語は模試の出題タイプによっても影響を受けます。サピックスや四谷大塚の模試は、いわゆる記述をさせる問題が多いのですが、日能研はそれほどでもありません。
CちゃんはサピックスのAクラス(一番下)でしたが、国語はそれなりに得意でサピックスの組分けテストでも偏差値50は超えていました。しかし算数がさっぱりで全く授業についていけず、6年生春の時点で小数の割り算にも苦しんでいたため、日能研に転塾しました。
「日能研ならばもっと偏差値も取れるだろう」と私もお母様も思っていたのですが、実際に模試を受けてびっくり! 算数は目論見通り点数が取りやすくなったのですが、国語の偏差値が大きく下降したのです。Cちゃん曰く、「サピックスは記述が多かったけど、日能研は選択式(客観問題)が多くて、それでことごとく外しちゃう」とのこと。
国語の記述問題を不得手とする子は多いのですが、書く力がある子は部分点をもらえます。しかし、選択式は〇か×しかありません。志望校の「中央大学附属」は選択式のオンパレードなので、客観問題の補強が必要だと早期に判明して良かったです。
一方、Kちゃんは小規模な塾に在籍しており、母集団の小さな独自の模試で国語の偏差値は55以上を安定して取っていました。6年生の夏頃から、塾が日能研の模試を推奨するようになり、初めて受けた模試がボロボロ。
本人もショックを受けていましたが、国語と算数の問題が一体になり、広げるとA3サイズにもなる大きさの問題用紙に戸惑ったようです。慣れてもらうために、その後も数回受けてもらいましたが、国語のプロの先生より「『鷗友学園』が志望校ならば、国語に関しては記述の多い合判(合不合判定テストの略)を受けないと意味がない」とアドバイスをいただき、その後は四谷大塚の合判に切り替えました。
模試の慣れ、志望校の出題傾向に沿った内容、これらをクリアした上で初めて、偏差値に意味が出てきます。
夏前の模試の結果は忘れよう!
6年生の秋からは、毎月のように志望校判定の模試が行われます。
判定の合格率を気にするのは、秋からでOK。夏前の結果は良くても悪くても忘れてください。秋以降、お子さんの成績は大きく変わりますし、乱高下もめずらしくありません。伸びてくる子、失速する子など、順位が激しく入れ替わり始めます。
何より大切なのは、本番に向けて秋から上昇カーブに乗せていくこと。人間、悪かった結果は忘れますが、良かった過去の栄光はいつまでも覚えていたいものです。
しかし、秋からの成績が実力です。客観的に現実を見つめ、打てる手を打っていきましょう。
*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(安浪京子著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成したものです。