非認知能力というのは、自分を動機づける能力、長期的な視野で行動する能力、自分を信じる能力、他者を信頼する能力、自分の感情をコントロールする能力などである。

 これらは、心理学者ゴールマンの翻訳書によって広まったEQ(心理学の世界ではEI=情動的知性というが、IQとの対比で一般にはEQと呼ばれている。心の知能指数などともいわれる)に相当するものといえる。ゴールマンは、人生で成功するかどうかは、心の知能指数、つまりEQによって決まるという。

 そして、EQは、生後のしつけや教育によって高めていけるのだという。実際、その後の心理学の研究によって、非認知能力はトレーニングによって高められることが実証されている。子どものしつけや教育の中で、忍耐力や粘り強さ、共感性などを身につけさせることが大事だとされてきたが、それらはこのEQに相当するものといえる。

 そして、心理学の多くの研究によって、EQが高い方が、ストレス対処能力が高く、学業成績が高く、職業的成功度が高く、社会適応が良く、人生の幸福感が高いことなどが証明されている。