「これからの日本は強盗とか流行しますよ。私はやらせないけれど、やばい連中は金さえ回収できればいいんだから何でもやらせますよ。多重債務者の連中は、どこも金を貸してもらえないんだから、逆らえないでしょ」

 2010年1月、大塚耕平内閣府副大臣(当時)を座長とする「貸金業制度に関するプロジェクトチーム第9回」に有識者として呼ばれ意見を求められた筆者は、このような「規制強化で闇が栄える皮肉な現実」を内閣府や金融庁に訴えたが、「貴重なお話をありがとうございます」と言われただけだった。

 もともと総量規制は「多重債務者問題」を解決するために導入されたものだ。

 さまざまな消費者金融から借り入れをして、文字通り借金で首が回らなくなった多重債務者を、人権派閥弁護士の皆さんが救済するために「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」を設立。彼らの「弱者救済を求める声」が国を動かしたのである。

 筆者もそれ自体を否定するつもりはない。総量規制によって救われた人もたくさんいるはずだ。ただ、一方で実は消費者金融が受け皿になって、ギリギリのところで「闇」に落ちずに済んでいた人もたくさんいた。総量規制は結果として、受け皿をなくして、それらの人々を続々と「闇」へとつき落としてしまったのである。