バールを持った強盗写真はイメージです Photo:PIXTA

おじいちゃん子が高齢男性を殺害する
“現代の地獄絵図”

「こんな怪しい話に応募したら100%人生が詰むに決まってんじゃん。なんで、最近の若者はそんな当たり前のことがわからないの?」

 毎日のように報じられるニュースを見て、そんな風に首を傾げる方も多いのではないだろうか。首都圏で相次ぐ強盗事件で問題になっている「闇バイト」のことである。

 ご存じのように、民家に押し入って「金を出せえ、オラッ!」と暴行をはたらいているのは、SNSなどで「誰でもできる簡単な仕事」「ホワイト案件」「日当2万から5万」という勧誘で集められた、その辺にいる普通の若者だ。

 例えば、横浜市青葉区の民家に押し入って、75歳の男性を殺害して20万円を奪って逃走したのは、千葉県印西市で塗装関係の仕事をしていた22歳の男性だった。「産経新聞」(10月22日)が同居する祖父に取材したところ、「子どもの時から揉め事を起こしたことのない優しい子」だそうで、休日には祖父の仕事も嫌な顔ひとつしないで手伝う面もあったという。

 では、そんな“おじいちゃんっ子”の若者が、なぜ祖父と同世代の男性を骨が折れるまで暴行して殺害したのか……それは「自分とおじいちゃんの安全を守るため」だ。

 男性は警察の調べに対して「途中で犯罪に加担していることに気づき恐怖を感じたが、個人情報を指示役に知られ、仕返しや家族にも危害が加えられるかもしれないと考え、断れなかった」と供述している。

 つまり、闇バイトというのは応募して「本人確認できるものあります?」などと言われ、うっかり身分証を渡してしまった時点で「犯罪グループの奴隷」にされてしまう恐ろしいシステムなのだ。

 というわけで、警察では「水際対策」として、若者に向けて「闇バイトに絶対に手を出してはいけません」という注意喚起に力を入れており、警察庁はYouTubeで啓発動画を公開している。

 これを受けて、マスコミも「闇バイトを見抜くポイント」の周知に努めている。仕事内容がぼやかされて高い日当だったらかなり怪しいとか、とにかくDMでのやり取りに誘導するとか、秘匿性の高いテレグラムを使えと言われたら完全にクロ、など闇バイトに巻き込まれないコツが報じられている。