「忙しい」と言うことによる重大リスク
たとえばあなたが上司で、毎日朝の7時から22時まで働いている多忙なビジネスパーソンだとしましょう。
あなたは、自分より遅く来て早く帰っている部下Aさんに仕事を振ろうとしました。するとAさんが「いま忙しいです」と言ってきました。
どう思いますか。正直、「自分のほうが忙しいのに」と思いませんか。
ただ逆に部下側からすると、「手一杯で引き受けられない」と本気で考えている可能性が高いです。
ここの問題は「忙しい」という言葉は非常に曖昧だということです。毎日残業が続いていることを「忙しい」と表現する人もいれば、定時で帰れないことを「忙しい」と言う人もいます。中には、会社に寝泊まりしていても別に忙しいとは感じない人もいるかもしれません。
こういったときに「忙しい」という言葉はコミュニケーションの齟齬を引き起こします。結果として、「あいつは能力がない」「やる気がない」などのように、評価が下がってしまうのです。
どう忙しいのかを「事実」に言い換えよう
では、どうすればいいのか。答えは簡単で、「忙しい」の解像度を上げるだけです。
忙しいとただ答えるのではなく、あなたのタスクを列挙し、新しいタスクに対応するのに時間がかかることを伝えるようにしてみてください。
「忙しい」と答える際には、基本的にはあなたの現状のタスクについて確認されているケースが多いと思います。その際に、あなたにとっての「忙しい」の状況を細かく分解して説明しましょう。「今日中に終わらせないといけないタスクが十個以上溜まっています」「そのタスクの対応にとりかかれるのは3週間後です」みたいなイメージです。それを「忙しい」と捉えるかどうかは依頼者側の判断に委ねてしまうほうが、サイレント減点を防ぐ観点では得策だと言えます。
「忙しい」という単語は価値観によって大きく状況が変わる単語です。聞き手によって捉え方が変わるフレーズはなるべく避けることで、自分の知らないところで評価が下がってしまう意味のわからない悲劇を防ぐようにしましょう。
(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』の一部に、加筆・編集を加えた原稿です)