このように、すべきことがあるのになかなか実行できないような場合に絶大な効果を発揮するのが、シンプルなプランを立てるという方法だ。
目標とプロセスを結び付ければ
やり遂げられる可能性は上がる
ペンシルベニア大学ウォートンスクールで精力的に研究を行なっているケイティ・ミルクマン教授は、この点に注目して実験を実施した。同教授の研究チームはアメリカ中西部のある大手電力会社と共同で、同社の従業員中、インフルエンザ関連の合併症の発症リスクが高い3300人に対し、接種率を上げられるかを調査した。
被験者は全員、病院での予防接種の実施時期に関するお知らせを受け取った。これを受けて実際に接種の予定を立てた人はわずかだった。だが、予防接種の実施日時の情報に加え、自分が何日の何時に接種を受けに行くかを該当欄に記入させる、という小さな変化を加えただけで、接種率は13%増加した。こういう変化がアメリカ全土、さらには欧米諸国に広く行き渡れば、何千もの命を救うことができるはずだ。
このミルクマンによるプランニングを促すお知らせは、ニューヨーク大学心理学部教授のピーター・ゴルヴィツァーが開発した「実行意図」と呼ばれる概念に由来している。