同教授は、何かをする意図はあるのに、そのための行動をとることができない状況について研究を行なった。その結果、予想される将来の状況と、目標の達成に必要な行動とを認知的に関連づけることができれば、人は自分の意図したことをやり遂げる可能性が高まることを示した。
ゴルヴィツァーや彼に続く若手研究者らは、この実行意図をさまざまな領域で利用してきた。ゴルヴィツァーの数ある研究のなかに、学生たちにクリスマスイヴの日の午後と夜をどのように過ごしたかをレポートに書かせる、という半分冗談のようなものがあった。
実行意図を明示した学生たちは
課題達成率が2倍以上高くなった
学生たちは、今回どのように感じたかや、その日の過ごし方が自分の思い描く楽しいイベントのイメージとどのくらい合っていたかを書くよう求められた。しかも、記憶が薄れないよう、クリスマス休暇中にレポートを書き上げるよう指示された。
この課題をあえて選んだのは「厄介な課題だけに達成率は低くなるだろう」と予想してのことだ。つまり、学生たちはクリスマス休暇という誘惑があっても課題をやり遂げられるか検証するにはもってこいの課題だったというわけだ。
ゴルヴィツァーは、被験者の学生たちをふたつのグループに分け、一方には、いつどこで机に向かいレポートを書きはじめるつもりかという実行意図を明示させた。たとえば、学生のひとりは、日曜日、教会から帰ったらすぐに父親の机で課題に取りかかるつもりだと言った。