目標を達成した場合のメリットと
目標の阻害要因とを対比させる
実行意図を決めるもうひとつの方法は、目標達成の邪魔をする誘惑を防ぎたい場合に特に効果的で、奇遇にもゴルヴィツァー教授の妻、ガブリエル・エッティンゲン教授の専門分野だ。
人は夢想にふけったりネガティブ思考に陥ったりすることに多くの時間を費やしすぎているきらいがあるが、本来はこのどちらも少しずつ行うのが望ましいのではないか、というのが同教授の問題意識だ。「メンタル・コントラスティング」と呼ばれるこの思考法は、目標を達成した場合のメリットをまずイメージし、次にその目標の阻害要因について考え、両者を頭のなかで対比させるというものだ。
ダイエットを例に考えてみよう。夏休みにはスリムになった自分にさぞかし自信が持てるだろうと想像しながら、他方では、外食に行くたび、メインディッシュには比較的ヘルシーなものを選んでも、最後にはついあの魅惑的なデザート――チョコレートケーキのホットチョコレートソースがけ――に目が行ってしまう自分をイメージする、ということだ。
このようなメンタル・コントラスティング(夏休みvsデザート)を実践することができれば、実行意図とif-thenプランニングを用いて、目標達成への途上に横たわるさまざまな障害を回避することができる。