ダイナミックプライシングの代表格である航空業界は、曜日(月曜日から木曜日は安く、金曜日と土曜日が高い)、季節(年末年始やゴールデンウィーク、お盆は高い)、時間(午前中の便などは高く、早朝や深夜などは安い)で運賃が異なり、予約時期によって割引率も変わる。
ダイナミックプライシングは、価格を柔軟に変更可能でなければ成り立たない。1970年代以降のアメリカ航空業界で柔軟な価格戦略が流行した背景には運賃分野の規制緩和があり、日本で定着したのも2000年の運賃自由化以降のことだ。高速バスも近年の規制緩和で柔軟な運賃設定が可能になった。
一方、鉄道の価格戦略は自由度が低い。1997年以前の鉄道運賃はひとつひとつの区間ごとに金額が決められていたが、1997年の規制緩和で上限運賃の範囲内であれば事前の届出で運賃・料金の割引ができるようになった。
しかし、需要が大きい時期に、列車の運賃・料金を上げることはできないため、航空業界のような価格戦略は難しい。