ただ、残念ながら、これは国際社会で共感を得にくい。日本国憲法でも天皇は「儀式を行う」とあるだけで、「祭祀王」とはされていない。日本人でも皇室をローマ法皇やダライ・ラマと同一視している人は少ない。
法的にも、国民感覚的にも、天皇はあくまで「国民統合の象徴」なので、男性でも女性でもいいはずでしょ、というのが女性差別撤廃委員会のロジックだ。
ちなみに、このような話を聞くと、ネットやSNSでは「日本の文化を破壊しようとする闇の巨大組織が……」みたいな壮大な国際陰謀論が語られることが多いが、本件に関してそういう可能性は低い。
国連など国際社会で影響力を持つ西側諸国の王室も元は「男系」だった。しかし、第二次大戦後から人権意識が高まり、国際社会からの指摘を受けて、男女を問わず第一子が王位を継承する「長子相続」制をとる国が増えてきた。という流れのなかで、国連はスペインなど、欧州の王室にも日本の皇室と同じような勧告をしているのだ。
このように我々日本人からすれば「日本の立派な文化」として、胸を張っているようなことが海外から見ると正反対に「日本の差別文化」と受け取られることが多々ある。