一方、アメリカ人は、「ヒューマンエラーは起こるもの」という前提に立ってシステムを作っています。人間はミスをするものです。つまり、あらかじめ誤差がいくらまでなら許容するという現金差を定めておき、レジのお金がその誤差の範囲内に収まっているなら、従業員たちをそのまま帰すのです。

 マクドナルドでは、売上の0.1%まで誤差が許容されます。レジの現金が多少合わなくても、従業員を居残らせて合うまで計算させた際の「人件費」とその「現金差」を天秤にかけると、居残らせないほうが効率的なのです。もちろん、差額が範囲内に収まっていないなら、原因を追及します。

 ちなみに、アメリカでは、レストランなどの店舗だけでなく、銀行ですらこの現金差をある程度許容しているから驚きです。

 私はアメリカ時代、何度か銀行の支店長とお話しする機会に恵まれたのですが、その時にこの現金差の話題になり、彼らは金額の帳尻が完全に合わないことは普通なので、ある程度は許容するとおっしゃっていました。

 対する日本人は、100%性善説に立っているのか、「間違いが起こるはずはない」「従業員がくすねるはずがない」という考えを持っていると感じます。