東海道新幹線の需要回復で
好業績となったJR東海

 JR東海の業績は東海道新幹線が左右する。営業収益は対前年度同期約563億円増(約6.9%増)の約8739億円。セグメント別にみると運輸業は同約475億円増(約7.1%増)の約7137億円、うち東海道新幹線の鉄道営業収入は同約426億円増(約7.2%増)の増収だった。

 同社の月次情報によれば、東海道新幹線の利用は昨年度からもう一段回復している。昨年度上半期の輸送量は対2018年度で90%だったが、今年度は93%となった。その中で8月はJR西日本と同様に台風と地震の影響で83%にとどまったため、実際は数字以上に回復していると言えるだろう。

 同社広報部は「お盆期間における南海トラフ地震臨時情報と台風に伴う計画運休による影響は、期間が重なっていたこともあり個別の影響を示すことは難しいが、台風10号の接近に伴う計画運休では、東京口の断面輸送量が2018年度比で概ね8~9pt押し下げられたと推定できる」と説明する。

 もうひとつ注目したいのは平日の利用が戻りつつあることだ。昨年度上半期の平日の輸送量は対2018年度で86%、下半期は同91%だったが、今年度第1四半期は92%、8月は前述のとおり台風と地震の影響で79%だったが、9月は93%、10月(10月28日時点速報値)は96%を記録している。

 土休日利用はインバウンド需要を追い風に引き続き好調に推移しており、8月を除き対2018年度で100%を超えた。列車種別ごとにみると、「ひかり」「こだま」は同85%程度と低調だが、「のぞみ」は第1四半期で同101%、8月の影響を受ける上半期でも同98%まで戻っている。

 この結果、営業利益は同約531億円増(約17%増)の約3652億円。運輸業は同約514億円増(17.7%増)の約3412億円となった。運輸業の営業収益は対2018年度で約54億円減(2019年10月の消費税率改定の影響は加味しない)まで回復したが、営業利益は約305億円の減となっている。これは「のぞみ」最大毎時12本化の影響などで営業費が増加したことによるものだ。