自民党総裁と民主党代表の
スタッフはかぶっていた
どうして菅さんとは大連立構想の話がまとまらなくて、野田さんとは三党合意ができたのか。
1つは、相手が考えていることをお互いによくわかっていたからだと思います。あのとき、私が財務相だったときの事務方と、野田さんの周りで税に関する立案をしていた人たちが、全く重なっていたんですね。共通の財務官僚を通じて、私の考えていることが野田さんに正確に伝わっていたと思うし、私も野田さんの考えていることを相当正確に知っていたと思います。その差は大きかったでしょうね。
与謝野馨元財務相もキーパーソンの1人でした。下野した自民党を飛び出し、たちあがれ日本からも離党して、民主党政権に参加していましたが、もともと財政再建の考え方は私と非常に近かった。向こうが案を作る上での重要人物になっていたと思います。
そして何より、野田さんの気迫と度胸。ああいう人を党勢拡大に生かせないようでは、今の野党はどうしようもないと思います(編集部注/筆者の執筆時点では、泉健太体制下の立憲民主党において、野田は名誉職の最高顧問にまつりあげられていた)。