ただ話すだけなのに「頑張る」「疲れる」「気を使う」……。日々のコミュニケーションで苦戦苦闘している日々よ、さようなら。これからは、説得しようと力業で勝負する必要はありません。自ら動くのではなく、相手に動いてもらい、自分の思い通りの結果に導けばいいのです。
それを可能にしたのが、大久保雅士著『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』だ。「トップセールス」の実績を持つ「メンタリズム日本一」が生んだ至極のコミュニケーションスキルが詰まった一冊。本書では、限りなく「ホワイト」で徹底的に磨かれたノウハウを網羅しているが、本連載の今回からは本の性格上、収録しなかった「ブラック」よりの禁断のテクニックを紹介する。使うか使わないかは、自己の判断に任せる。
「友人相談トリック」で苦手な上司から解放!
職場の大敵「苦手な上司」。その存在感は圧倒的です。指示は理不尽、成果は横取り、責任は押し付け。「部下の心をへし折るために存在しているのでは?」と疑いたくなるような人ですが、残念ながらあなたが直接「成敗」することはできません。職場は戦国時代ではないので、上司を討ち取れば即出世!という展開にはならないのです。
しかし、戦わずして黙っている必要もありません。今回ご紹介するのは、そんな「苦手な上司」にじわじわ効く、禁断の心理テクニック。名付けて「友人相談トリック」です。この質問を使えば、上司の自覚をこっそり誘発し、ストレスを溜め込む毎日から少しずつ脱却することができるかもしれません。
無害に見せて毒を盛る
あなたがもし、上司の理不尽なミスの押し付けに悩んでいるとしましょう。その不満を正直にぶつければ、「若いもんが生意気だ」と返されるか、無言の圧力で追い詰められるのがオチです。そこで、この方法を試してみてください。
「部長、ちょっと相談があるんですが、友人からこんな相談を受けたんです。『嫌な上司がいて、よくミスを押し付けられるんだけど、どうすればうまく付き合えるかな?』って。部長ならどんなアドバイスをしますか?」
ここでのポイントは、「友人の話」として伝えること。これにより、上司は自身に関係ない問題として気軽に答えるでしょう。しかし、頭の片隅には「これって、俺のこと?」という疑念がちらつき始めます。こうしてあなたは、上司の心に静かに毒を回し始めるのです。
「友人の相談」を深掘りして効果倍増
質問を投げかけた後、上司がどう答えるかによって次の手を考えます。たとえば、こんな返事が返ってきたとしましょう。
上司「その上司にも事情があるんだろうな」
ここで引き下がるのはまだ早い。さらにこう追い詰めていきます。
部下「そうなんですね! 部長ならその事情ってどんなことだと思います? 友人に伝えてあげたいので、ぜひ部長のご意見を聞きたいです!」
この時点で上司は、心の中で「俺も部下にそう思われているのか?」とモヤモヤが加速していることでしょう。そして、もし上司が「その友人の上司も大変なんだろうよ」と言い出したら、さらにこう畳みかけます。
「そうなんですね。でも、部下から嫌われちゃうのは大変ですよね。その上司も可哀想です」
ここまで来ると、上司の心には確実に刺さっています。「もしかしたら俺も嫌われている?」という内省が始まり、行動を少しずつ変えざるを得なくなる可能性が高まります。
苦手な上司を心理的に“弱体化”させる
この方法の最大の魅力は、直接的な対立を避けながら相手に効くところ。あなたが被害者ぶることなく、むしろ「部長のお知恵を借りたい」と持ち上げることで、上司はアドバイスをしてしまいます。そして、質問を重ねるたびに内心のモヤモヤを増幅させていくのです。
禁断の質問でストレスをエンタメに
上司を変えることはできなくても、その心を揺さぶることはできます。そして、じわじわ効いている様子を想像することで、日々のストレスを少しでも笑いに変えられるかもしれません。この禁断の質問術、ぜひ次のラスボスとの会話で試してみてください。
「じわじわ効く毒」の効果を、あなた自身が一番楽しむ――それがこの質問の醍醐味です。
若干ダークサイドよりの禁断のテクニックを紹介しましたが、ホワイトで行ないたいときは『「8秒」で人の心をつかむ技術』がおすすめ。トップセールスのワザと、メンタリズムのノウハウを掛け合わせた最強のコミュニケーションスキル。自分の思い描くゴールに向けて相手を導き、自身の望み通りに未来を変えていきましょう。
(本原稿は、書籍『メンタリズム日本一が教える「8秒」で人の心をつかむ技術』から一部抜粋、編集したものです)