日本人を含む東アジア人は、血糖をコントロールするインスリンの分泌量が少なく、少々体重が増えただけで2型糖尿病(2DM)リスクが上昇する。
英国の在住者を対象として、民族別に体格指数(BMI)との関係を検討した調査では、BMI30の白人と同26.9の東アジア人(中国人)の2DM発症リスクが同等であることが判明している。
ただ、BMIは身長と体重で計算するので筋肉量の多い男性が高値になり、体脂肪分布も反映されない。そのため性差にも配慮した新しい指標が求められていた。
中国・南方科技大学医院の研究者は、日本人の健診データを使い、相対脂肪質量(RFM)と呼ばれる新指標の妥当性を検討している。
対象は、2004~15年に朝日大学村上記念病院で総合健診を受けた1万5462人のオープンデータで、糖尿病群373人(平均年齢47.14歳、女性23.32%)、非糖尿病群1万5089人(同43.62歳、46.04%)のRFMを計算した。
年齢や生活習慣、血圧値などの2DMリスク因子の影響を調整してRFMと2DMとの関連を分析した結果、男女ともにRFMが上昇するにつれて、2DMの発症リスクも上昇することが示された。
男女別に分析した結果、女性はRFM低値でも、RFMが1単位増えるごとに11%ずつ発症リスクが上がり、しかもRFM39.23を境に、それまでの4倍近いスピードで発症リスクが急上昇していく。
一方男性は、RFM23.8より高い場合にのみ、1単位増につき16%ずつ2DM発症リスクが増加することが示された。
RFMは、高性能ボディースキャンのいわば「アナログ版」だ。2DM以外に脂質異常症や高血圧、心血管疾患のほか重度の肝疾患との関連も実証されている。
なにより、メジャー一本で簡単に算出できる点がいい。思い立ったら腹囲を測り、RFMを確認するクセを付けるといいだろう。
男女別の計算式は次の通り。男性:64-(20×身長÷腹囲)女性:76-(20×身長÷腹囲)
RFMが危険点に近づいている方はまず、身体を動かそう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)