女性には相手を理解する「共感力」があり、男性には相手とわかり合えない部分を解消する「問題解決能力」があると僕は思う。息子がその両方を身につけたら、「自己責任」なんて冷たい言葉で、弱い人をいじめる人にはならないだろう。
だが、自力で解決するのはベストであっても、実際はとても難しい。そこで第3に、嫌な人から逃げる方法を教えておきたい。どうしても解決できなかったら、壊れる前に逃げてほしい。逃げ方を知っておくことも大切だ。
それでも解決しないなら、親が介入すべきだ。いじめは犯罪だから、警察や司法の力を借りるしかないこともある。「握手して仲直り」なんてきれいごとで誤魔化して、大事なわが子を犠牲者にしたくない。
「子どもの喧嘩に親が出るな」というのが正解という場合もあるが、すべてにあてはめるのはナンセンスだ。大人ですらトラブルがあれば、人に相談したり、警察や弁護士の力を借りるのに、子どもだけを戦わせる必要はない。
法律は弱者の味方ではなく
それを知っている人の味方
そして法律とは、弱者の味方ではなく、知っている人の味方だ。僕が教えてあげたいけれど、もしもそれが無理でも、法律についてはスマホで検索できる。
父親が守ってやれないぶん、自分自身を守るすべを、息子には知っておいてほしい。
「嫌な子がいるんだ」と息子が言ったら、「仲良くしなきゃだめだよ」とは答えない。
嫌な人がいるのは当たり前で、無理やり好きにはなれない。だから僕は、「誰とでも仲良くする方法」ではなくて「嫌な人への対処法」を教えたいし、それが子どもに役立つ親の悪知恵だと思う。
僕はもともと嫌な人とは会わないようにしていたが、最近はいっそう徹底している。余命が短いのに、嫌な人と会っている時間はないのだ。
これは写真の世界に限らないと思うけれど、「俺ってすごい!」と自己満足にひたる人が年齢を重ねていくと、目も当てられないような嫌な人になる。そういう人は、「俺のすごさ」だけが自分の中で年々高まっていき、能力自体はアップデートしていない。
それなのに「俺が若いころは……」と、自分が思う「正しさ」を押しつけてくるから困ってしまう。「おまえのため」と言うけれど、その人の自己肯定のためなのだ。
たしかに昔は正しかったかもしれないが、すべては変化し、更新される。