電化製品と同じで、新しいほうが優れているのだ。僕だって、20代のカメラマンに会うと、「感性といい、新しい技術といい、かなわないな」と感じる。

 それなのに年齢や経験を振りかざして「俺が正しい、俺のやり方を真似ろ」と力で押してくる嫌な人は、あとをたたない。「昔はね」という言葉は要注意だ。

 ほかにも嫌な人にはさまざまなタイプがいるけれど、「優しくない人」は間違いなく嫌な人だ。

嫌な人から逃げる一番の方法は
自分に自信を持つことだ

 息子には、「嫌な人は徹底的に避けろ」と教えたい。

 僕は嫌な人から仕事の依頼が来たら、断ってしまう。それで逃すチャンスがあったとしても、嫌な人から距離を置き、自分が優しい人であるように努めれば、優しい人から別のチャンスが必ず来ると信じているから。

 逆に、「これも仕事だから」とか、「人脈は大切だ」などと思い、無理をして嫌な人の話を聞いたり適当に合わせたりしていると、嫌な人の価値観が伝染して自分も嫌な人になってしまうと感じる。

 飲み会などで嫌な人と一緒になってしまったら、僕はグラスを持ったまま席を立ち、席をかえるフリをしてすーっと帰ってしまう。グラスは入口にちゃんと置いておくけれど。

 止むを得ず嫌な人の話を聞く羽目になったら、聞くふりをして、別のことを考える。目の前のコーヒーカップを見つめて、「白くてつるんとしてるな。昔よく行ったファミレスのと同じだ」などと現実逃避をする。どんな状況にあっても、心だけは自由だから、どこへだって逃げ出せる。

 そんな僕にも、かなり無理をして、嫌な人に合わせていたころがあった。

 本当につらかったけれど、「嫌な人から逃げ出そう」と転換できたのは、自分に自信を持てたからだ。自信がないころの僕は、嫌な人がする無意味で高圧的な話を、アドバイスとして受け取っていた。相手の真意が判断できていなかったのだ。

 だから嫌な人から逃げるいちばんの方法は、自分に自信を持つことだと思う。