業務の効率化、人手不足解消には
マイナ保険証によるDX化が欠かせない

 マイナンバーカードを持つかどうかは個人の自由で、マイナ保険証を持っていなくても保険診療が受けられなくなるといったことはない。

 ただし、健康保険証の有効期限が切れた後は、マイナ保険証での受付が主流になっていく。資格確認書の交付を受けるという手段もあるが、公的医療保険制度の効率的な運用のためにはマイナ保険証を活用したDX化は欠かせない。

 マイナ保険証を利用して診療情報が一元管理できるようになれば、検査情報の共有、薬の重複投与の防止などにつながり、患者にとってもメリットはある。また、医療分野でのDX化が進めば、今大きな問題となっている人手不足解消の一助となる可能性もある。

 日本の総人口は2008年をピークに減少の一途をたどっており、65年には9000万人を割り込むことが予想されている。15~64歳の生産年齢人口も減少傾向で、少子高齢化はますます進んでいきそうだ。

 こうした人口減少社会の中で労働力をカバーしていくためには、DX化は避けては通れない改革だ。特に人手不足が顕著な医療業界では、機械にできることは機械に任せて、人には人にしかできない仕事に専念する体制を早急に整える必要がある。

 マイナ保険証の本格導入当初は、他人の情報がひも付けされていたり、読み取り機械の不具合で資格確認ができなかったりするなどのトラブルが大きく報じられた。だが、その後システム改修も行われ、トラブル時の対処方法も決められた。

 今後は、なんらかの理由でオンライン資格確認ができなかった場合でも医療費の全額が請求されることはなく、本来の自己負担割合で受診できる対応がとられるようになっている。

 マイナ保険証でも、資格確認書でも、健康保険証でも、医療費に差はなく、どれを使うかは個人の自由だ。一部には、紙の健康保険証の存続を訴える声もあるが、これから先も国民皆保険制度を維持していくためにふさわしい資格確認の方法はどれなのか。よく考えて利用するようにしたい。