これまでマイナ保険証の方が
自己負担額が低かったのはなぜ?

 ただし、当初の診療報酬体系は、病院や診療所、薬局にシステム導入を促すために、マイナ保険証を利用すると健康保険証で受診するよりも医療費が高くなる設計になっていた。医療機関側の報酬は多くなるが、患者の負担が増えてしまうため、制度設計への疑問の声もあがっていた。

 そこで、22年10月からは、オンライン資格確認システムなどを整備した病院や診療所、薬局でマイナ保険証を利用すると、健康保険証を提示するより患者負担が安くなるように見直されることになったのだ。

 その後、複数回の改定があったが、マイナ保険証を使った方が医療費は安くなる診療報酬体系は維持され、24年6月からは次のような料金体系になっていた。

【2024年6月~11月のマイナ保険証に関連する医療費の加算】

※( )内は3割負担の場合。実際の医療費は10円未満四捨五入されるので患者負担の目安。加算されるのは、病院・診療所の初診は月1回まで、再診は3カ月に1回まで。薬局は6カ月に1回

 このように、24年11月までは、マイナ保険証を利用した方が、健康保険証で受診するよりも医療費が10円~20円安くなっていた。

 だが、公的医療保険の資格確認方法がマイナ保険証に一本化されることを受けて、DX化に協力的な医療機関に対しては、新たにつくられた「医療DX推進体制整備加算」という診療報酬によって評価することになった。

 こちらは、DX化に関して一定の基準を満たした医療機関が得られる報酬で、利用する保険証の種類に関係なくかかる加算だ。そのため、12月からは、マイナ保険証、健康保険証、どちらを使っても患者が負担する医療費に差は出なくなる。