シャレコーベのことを
いつも考えていた
この博物館を設立して一般公開したのは、元関西医科大学脳神経外科教授の河本圭司氏。1988年にサンフランシスコで国際学会があり、たまたま立ち寄った骨董品店で、装飾された本物のシャレコーベを見つけて、全身に電気が走るような衝撃があった。この時以来、シャレコーベのコレクションを意識して収集を行い、2011年11月に一般公開を始めたそうです。
実は、私は今年の夏にもこのミュージアムを訪れました。きっかけは、自宅近くの交番の前にあった警察署の広報板。「バラバラの遺体被害者」という見出しのポスターが貼ってあり、40代と60代の2通りに提示された「復顔似顔絵(イメージ画)」と被害者の特徴が描かれていました。
それを見て「白骨化した頭蓋骨から顔のイメージを復元したものだろう」と推測し、そこから色々と関連事項を調べていたら「頭蓋骨博物館」を見つけ、足を運んでみたのです。
今回は、イベントがあると聞いてやってきました。
当日は、2019年8月に75歳で亡くなった河本教授の娘さんで、現在館長を務めている山本佳代さんが「シャレコーベ ミュージアムの豆知識」を説明してくれました。
河本教授は、自宅でも博物館内でもシャレコーベのことをいつも考えながら過ごしていたそうです。ただ、河本教授がこの博物館をオープンさせたのは、単なるコレクションの収集を見てもらうためではなく、奥深いテーマがありました。
山本館長の説明では「誰もが、死んだらみんな同じ姿になる。ドクロを見ながら『生きている』ということを考えてほしい」と河本教授はよく語っていたそうです。
私は、今まで関心を持ってきた「顔」の意味合いを深めるためにも教授の本に目を通してみました。河本教授には『アトラス頭蓋骨学―基礎と臨床』
後者の本の前書きには「シャレコーベを通して、ヒトとは何か、人生とは何かなど、人間の探求に迫るものがあるのではないかと思うのです」と述べられています。