職場には「社内外の人と常にバトルしている人」と「社内外の人と常に円満な人」がいる。この差は、一体、何だろう?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。日々読者から寄せられるいろいろな悩みをぶつけてみた。本稿では悩みやすい年始に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

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「常にバトルして消耗している人」の対処法とは?

Q.職場に「常にバトルして消耗している人」がいます。
私から見ると、なぜそこまで常に相手と戦う必要があるのか? と思うのですが、その人は社内の人とも社外の人とも常にバトルしています。それが奇妙なことだと、本人は全く気づいていません。「常にバトルして消耗している人」にはどう対処したらよいのでしょうか

【悩まない人の回答】
 結論としては、「競合(ライバル)とは友達になったほうがいい」という話をすることです。たとえ友達になれなくても、相手と距離を縮めておくのが有益です。

 これは性格的な問題も大きいと思うのですが、私自身、昔から競合(ライバル)と争うのがすごく嫌なんです。

 ですから、ビジネスの世界に入り、2000年に当社を立ち上げて以来、「競合と友達になる」ことを意識してきました。

 こういう話をすると、必ず「どうやって友達になるんですか? そんなの無理ですよ」と言ってくる人がいます。

 たとえば、私はこれまで5冊の本を出版していますが、出版社の場合、どうしても競合関係があります。

 ただ、もし私が出版社の編集者なら、競合関係にある会社の編集者とも友達になっていろいろ情報交換しながら、その人の担当書が売れたら「おめでとう」と言うと思います。どんな仕事をするにせよ、私は「戦うモード」に心を裂きたくないので、あえて競合相手がうまくいったら自分から喜べるようにしておきます。

 ただ、多くの人はそういう感情になれないでしょう。
 でも、よく考えてみてください。
 実際問題、読者はAという本とBという本のどちらを買おうかと迷う場面は少なく、Aを買うかどうか、Bを買うかどうかを迷っており、結果的に両方買ったり、両方買わなかったりするのです。
 なので、そもそも争う必要はなく、友達になって、相手がヒットしたら「おめでとう!」と祝って、うまくいった秘訣を教えてもらうほうがお互いに有意義なのです。
 常にバトルモードで、疑心暗鬼になりながら仕事をするって、相当しんどくないですか。

 ライバル社の商品が売れている誰でも焦ります。
 そんなとき、私の場合は、あえてライバル社の人とも互いに情報交換できる関係になって、バトルモードにならないようにしています。

 もちろん、通販会社だったら、相手に商品をマネされるリスクもありますが、そういうリスクも含め、知人・友人になってしまうのです。

 あえて日頃から距離を近づけておくことで、互いにマネしたりされたりしない関係を築いておくのです。

 そういう考え方をしていると、「悩まない人」の考え方、に一歩ずつ近いていくでしょう。

 常にバトルして消耗している人は結構多い気がしますが、社内の誰かと争っている場合は、あえてその人と距離を縮めて情報交換してみましょう。

 もし、相手がうまくいったら、その瞬間を見逃さずに喜びをシェアし合えば互いに成長できますし、たとえ月の売上で相手に負けても、「おまえ、よく頑張ったな、おめでとう」と言えると思います。

 日頃から競合他社の人や社内のライバルと距離を縮めておけば、互いにバトルモードにならずにすみます。

 孫子の兵法にも通じる「戦わずして勝てる」と、「悩まない人」に一瞬で変身できます。

 こういう話を部下の人としながら、常にバトルして消耗する弊害を語ってみてはどうでしょうか。

(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)