そのときはそれで終わったんだけど、しばらくして氏家さんから、あれはお見合いだったんだと言われました。タクさんが君を後継者にしたいと言っていると。
それで、なるほどと合点がいった。『派閥と多党化時代』を読むようにと渡されたのはそういうことだったのかと。
――派閥の後継者になるために、参考書として読んでおくようにと。
そう。ほんと悩んだよね、山崎さんの派閥に入るか、入らないか。でも、僕は総裁選挙に出ようって若いころから思っていたから、渡辺主筆が本に書いているように、やっぱり派閥の会長じゃなきゃ総裁選挙に出れないんだなと。だから山崎さんの派閥に入りました。
――石原さんは派閥の会長をされていたわけですが、派閥の目的や意義をどのようにお考えですか。渡辺氏は本書で、派閥の存在意義としてポスト配分、活動資金、選挙支援、総裁選の4つを挙げていますが。
僕にとっては大きく2つで、1つは自分が総裁選に出ること。もう1つは人を育てることです。
僕の派閥では憲法改正の勉強に力を入れていて、研修会に慶大の山本龍彦教授に来てもらって、皆でディスカッションしました。
政治活動というのは自分の選挙区のことだけをやっていたんじゃダメで、国をどうするかという高い志がないといけない。
僕らの頃は、梶山静六先生をはじめよく言われましたよ。志を高く持てと。自分はこんな国にしたいと。そしてそれを有権者に言うことが大事だと習った。実際、昔はみんな言ってた。有権者にもそうだし、政治家同士でも話していました。
ただ、小選挙区になって、議員の大所高所からの議論がなくなった。いまはみんなそういうことを言わなくなったね。
――昔の派閥はそういう勉強会や語り合う場として機能していたわけですね。
そう。そこでは自信を持って人を育ててます。そして、その人たちが地元に戻って政治活動をするわけです。
――その派閥が解散することになりました。現時点で実際に解散届を出したのは石原さんのいらっしゃった近未来政治研究会(森山派)だけです(取材後、岸田派も解散届を提出)。他の派閥は解散するとは言ってますが、ほとぼり冷めたら復活する可能性はありませんか。