できないと思うよ。だって岸田総理が解散するって言っちゃったんだから。

――政治とカネの問題について、本書で渡辺氏は、政界と財界の癒着が政治を腐敗させたと指摘しています。

 当時とは違うよ。いまは財界なんてそんなにお金を出してない。派閥の会長をやったけど、いまは派閥運営にかかる金額が当時と比べて少なくなっています。

――ではなぜ派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題が起きたんでしょうか。

 いま騒がれている裏金問題は、派閥とは関係ない。派閥は悪くない。派閥が悪いんじゃなくて、法令を遵守しないやつが悪いだけ。遵法精神のない愚か者たちがやったことであると言えます。

 表現は悪いけど、おれはスピード違反で10キロしかオーバーしてないのに、なんで捕まえるんだよって。顔にそう書いてあるじゃない。心の底から謝ってるやつなんか誰もいないよ。僕から見るとね。

 要はガバナンスがないよね。知恵者がいないというか。今回の問題は、最初に「しんぶん赤旗」で報じられた時に、塩谷立(衆議院議員)さんは友達だけどさ、彼が腹切らなかったんだよ。聞かれてもいないのに、還付がありましたとかバカなこと言わないで。

 安倍派の座長だったんだから、私が腹切って議員を辞めますって言ってたら、こんな大騒ぎにはならなかった。

 だから危機管理、ガバナンスの問題。ビッグモーターだってあんなふうになっちゃったのは、最初にオーナーが責任取らなかったから。初動が下手だったってことです。

――改正政治資金規正法が成立しました。どう思われますか。

 政治活動費というのはかかるわけ。小選挙区になろうが、事務所は1カ所じゃないし、秘書も何人かいて、車だって何台も必要になる。その維持費をどうするのか。

 これは小沢一郎さんが言ってるのが正しくて、企業・団体献金を禁止して、蛇口を閉めればアンダーに潜るに決まってる。

 繰り返しになるけれど、遵法精神がないやつにどんな法律厳しくしたって、死刑制度があっても殺人事件はなくならないのと一緒。だから、出を明らかにして、入口は自由にした方がいいと思うよ。

 そうしないと地下に潜っていくか、あとは資産家、上場して一発当てたような人間しか選挙に出てこなくなる。僕の周りにも何人もいる。資産をどう使っていいかわからなくて困っている人。そういう人が、間違って政治に出てきたらえらいことだよ。