生徒と教員が本気になって取り組む
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――今日の「探究」の失敗の原因は、それが“手段”であるのに、“目的”だと思い込んでいることにあると思います。この学校で、世の中の「探究」の間違いを全部正してほしいです。
木村 研究指導に関わる教員は、指導者というよりもチームメンバーの一員というイメージですね。千代田でやっている研究活動は、主役はもちろん生徒ですが、教員も一緒に楽しみながら学べるすてきな活動です。生徒と教員が本気になって取り組んだ活動で世界の幸せに貢献できる学校、日本に一つくらいはこんな学校があってもいいのではないか。広尾学園での経験も踏まえて、生徒と共に千代田で実現していきます。
――研究テーマを生徒はどのように選ぶのでしょう。
木村 生徒が研究テーマを決めるときは、自分がやりたいことであることの大前提として、それが(学術界も含めた)社会から求められているか、ある程度の実現可能性がありそうか、ということも考えます。
――新しいことを始めると、保護者からいろいろと言われませんか。
木村 「研究活動をしていて大学受験は大丈夫ですか」と聞かれることはありますね(笑)。研究活動を進めることは大学受験においてもむしろ近道です。私も初めて担任になった時、生徒と面談しながら、「得意な生物は点数が取れているから、今はもう生物は勉強せずに苦手な英語をもっと頑張ろう」とか、「モル計算でミスが多いから化学を頑張ろう」と、全教科できるようになるために、広く浅く掘ることを指導してきました。生徒からすると、点を取るために常に苦手なことばかりやらされ続ける。