どんなに仕事で成果を出しても、周りから「評価」されなければ無意味である……あなたも、自分より能力が低い人がなぜか上司から高く評価されていて、イラッとした経験があるはず。ではこのような「なぜか評価される人」の“戦略”を、あなたは知っているだろうか。新刊『雑用は上司の隣でやりなさい』は「周りに実力を“評価させる”戦略」を初めて言語化した歴史的な一冊だ。職場で「実力を適切にアピールする「見せ方」の技術」をまとめた本書は、発売直後から賛否両論を巻き起こし、「こんな本が30年前に欲しかった」「人間の深層心理を突いている」「上司サイドにも対策が必要」などと話題沸騰中である。今回はその中から「出世する人の特徴」についてお伝えする。
「論破する人」は出世しない
あなたは職場の先輩や上司に対して真っ向から否定から入ることはないでしょうか。最近ではパワハラも通報制度が充実してきて上司や先輩の立場が弱くなるとともに部下や若手の人の発言力が高まってきています。それに併せて納得が行かないことや少しでも上司が間違いをしたら次々と「論破」をしている現場を僕が勤めるメガバンクでもよく見かけるようになってきました。
一見すると、部下にとっては論破し放題の自由な職場が生まれているように感じられますが、この「論破」はいきすぎるとサイレント減点の要因にもなってしまいます。また、この環境を生かして出世している人は決して上司を論破しません。本日は、出世する人が論破とどう向き合っているのか解説していきます。
「従順な部下」のほうが出世させやすい理由
みなさんは、会社の方針が間違っているように感じることが多々あると思います。こういうとき、「直属の上司に対して文句を言う」という人もいるでしょう。
実はここで、「きちんと従ってくれて、対応してくれそうな部下」のほうが、出世をしやすい人になります。
出世というのは水モノで、純粋な仕事の成果ではなく「人」が感情をもとに評価して決めるものです。つまりあなたの上司が「誰を出世させて、誰を出世させないか」を直接・あるいは間接的に決める立場にあるということです。自分の意見に対していちいち反発してくる部下を出世させて、その上司に何か得することがあるでしょうか。よく考えればわかると思いますが、当然、何もないですよね。
上司から見れば、「会社の方針に従わない部下」を出世させるわけにはなかなかいきませんよね。自分の部下を出世させるためには上司はその上司に理由を説明する必要があります。では、自分が管理しきれていない部下を、一体どういった理由で出世させるというのでしょうか。「手に負えないけど優秀なので出世します」なんて理由を上司宛に作ろうものなら、その上司自身の力量が疑われてしまいます。とてもそんな理由、会社に出せませんよね。
出世する部下は、実際には心では上司が言っている矛盾に気づいているし、いつでも論破しようとすれば論破できると考えています。ただ、「あえて論破しない」という選択肢を取っているだけなのです。その結果、論破してくる部下は勝手に上司からサイレント減点され、一方論破しない人は「優秀で従順な部下」として評価が高まっていきます。
もし、自分が論破していることに自覚があれば、ぜひ一度自分がサイレント減点されているかもしれないリスクについて考えてみることをお勧めします。
(本記事は『雑用は上司の隣でやりなさい』に関する書き下ろし原稿です)