期待値を明確にするには?
まず期待値を明確化するために、リーダー自身が「このメンバーにはどのような能力を期待しているか」を具体的に定義する必要があります。そしてその期待値をメンバーに対して丁寧に説明し、共有する必要があるのです。
「メンバーに何ができるようになってほしいか」という目標を、定量的・定性的に明確に示すことが重要です。期待している内容を数字で表現できるのであれば、数字で示しましょう。
一方で定量的に明確にできないことは、仕事の成果を「○○できる状態を目指して」と伝えることで言語化できていきます。たとえば、「このまま自分が社長にプレゼンできるように資料を作って」「顧客が商品のウリを理解できるプレゼンにしよう」などです。
これでもまだまだ不明確な部分はありますが、メンバーは自分が何をすればいいのか方向性を捉えることができます。
2つ目は、メンバーが実行するアクションを明確にすることです。メンバーに期待する具体的な行動も言語化する必要があります。
曖昧な指示ではなく、「毎日○時までに○○のレポートを作成し、△△のメールに返信する」といった具体的な行動目標を示すのです。
そして3つ目は、メンバーの成長プロセスを分解して理解することです。繰り返しですが、誰でもいきなり仕事ができるわけではありません。リーダーが期待したことができなかったり、そもそもリーダーが伝えたことを半分くらいしか理解できていないこともあります。この時にリーダーに求められるのは「忍耐強く待とう」ではなく、「教えたものを身に着けられる練習」をメンバーに課すことです。
メンバーは、段階的に成長していきます。まずこれができるようになる、次にこれを理解できるようになる、その次は…、というようなプロセスがあるはずなんです。そうであれば、「一度伝えたら全部ができるようになってほしい」とは考えず、順番に相手ができるようにサポートしてあげたほうがいいですね。
そして、リーダーが教えたことをメンバーが身につけられるような練習を課します。メンバーは練習を繰り返すことで徐々にできるようになっていきます。一つできるようになったら、次の練習を課します。こうすることでリーダーは戦略的にメンバーを育てていくことができます。
要は、忍耐力の話ではなく、相手の成長プロセスを明確に描けているかどうか、そして各段階において練習問題を課せるかどうかの話なんですよね。