ノートパソコンと男性写真はイメージです Photo:PIXTA

仕事に追われ、家族や趣味の時間を犠牲にしながら“タスクをこなす日々”を過ごしていないだろうか?タスクを管理する目的を見失ったまま、日々の仕事に取り組んでいても幸福を得ることはできない。広島大学で特任助教授を務める北村拓也氏によると、生産性を高めた“その先”を見据える必要があるという。今すぐ自分の時間を再設計し、人生の満足度を高めよう。※本稿は、北村拓也氏『「いつも時間がない人」のためのタスク管理の結論』(総合法令出版)の一部を抜粋・編集したものです。

あなたが仕事の生産性を
高めることに求める「意味」は?

 仕事をしっかりこなしながら、家族や友人との時間や趣味の時間も充実させたい。しかし、気がつくと夜になっていて、「今日も何もできなかった」と感じる。この焦燥感からプライベートの時間を犠牲にして仕事をするも、思うような成果が上がらない。こんな経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。

 私自身も大学の博士課程のとき、深夜まで営業しているカフェにPCを持ち込んだものの、研究はそっちのけで真夜中のスイーツセットを夢中で食べて、自分を責めながら帰宅する日々を過ごしていました。

 しかし、その後、博士課程を飛び級で修了し卒業できるほど生産性を高めることができました。それは、自分自身を変えるのではなく、自分の行動を仕組み化し、その仕組みを改善するようにしたからです。

 例えば、あなたが上司だとして、部下の業務を管理していると考えてみてください。部下にタスクを割り振り、目的と目標を伝えます。もし部下の仕事の効率が悪ければ、そのやり方を改善しようと考えるでしょう。

 時間管理も同じです。私たちは皆、24時間という平等な時間を与えられています。そして、その管理者は自分自身です。もし自分の時間の使い方に問題を感じているのであれば、そのやり方を改善しなければなりません。

 自分の行動を仕組み化し、その仕組みを改善する方法が、これから紹介する「ウェルビーイングスクラム」(以降、ウェルスク)です。

仕事をする目的は
ウェルビーイングの持続

 人生における「目的」は、人それぞれ異なります。もちろん仕事を効率的にし、生産性を高めることは目的の一つです。しかし、その先にあるものは、身体的・精神的・社会的に良好な状態である「ウェルビーイングの持続」ではないでしょうか。

 誰も、回し車を走るハムスターのように、目的なく回転数(=生産性)を上げることには興味がないはずです。なぜなら、タスクは早く終わらせたところで新しいタスクが増えるだけだからです。