なぜ世帯数は増え続けるのか?
今どきの世相が反映されたその理由
世帯数が増える理由は大きく3つある。
1つ目は、若者が実家を出ることで、これの影響が最も大きい。
2つ目は離婚などの別離で世帯が分離することである。2023年の離婚件数は18万7798組で、これ以外にも同棲の解消などもこれに当たる。
3つ目は高齢者の単身化だ。老夫婦が配偶者と死別したりすると、2人世帯が1人になる。この数は2023年の死亡人口で157万5936人なので、その半数が単身化だとすると、80万世帯に及ぶことになる。
一方、世帯人員を増やす主な要因として結婚や出産が挙げられる。2023年の婚姻件数は47万4717組あり、そのうち単身世帯の男女が結婚して夫婦世帯になると世帯数は減ることになるし、2023年の出生件数72万7277人の数だけ世帯人員は増えることになる。しかし、非婚化や少子化のトレンドは継続中なので、その影響は徐々に小さくなってきているからこそ、世帯人員は減り続けているのだ。
こうしたいくつかの要因の組み合わせではあるものの、毎年1%ほどの世帯人員の減少が続いている。その主因は、若者の「実家離れ」である。以前、学卒後に親と実家にいる独身者が「パラサイト・シングル」と呼ばれた。
これは社会学者の山田昌弘氏が1997年に出版した著書『パラサイト・シングルの時代』で初めて使われ、親に家事を任せ、家賃も払わず、給料を自分のために使う気ままな独身貴族という意味合いと、少子化の背景にある非婚化・晩婚化の要因として注目された。しかし、今は実家を出る人(ノンパラサイト・シングル)が急増しているのが現実となる。