児童虐待や暴行、性加害…子どもを狙った卑劣な犯罪のニュースに心を痛める人は多い。
令和5年における18歳未満の子どもに対する不同意わいせつの検挙件数は1694件、不同意性交等の検挙件数は709件*に上る。
子どもの身を守るために、親として何ができるのだろうか。
本記事では、池上彰総監修の『いのちをまもる図鑑』(ダイヤモンド社)で第4章「犯罪からいのちを守る」の監修を務めた危機管理の専門家・国崎信江氏に話を聞いた。
(取材・構成/杉本透子)
*出典:警察庁「令和5年における少年非行及び子供の性被害の状況」
「7歳」は気をつけるべき年齢
――昔と比べると今のランドセルは色もデザインも豊富ですが、「犯罪の被害に遭いにくい」という視点では、目立たない色柄のほうがいいなどありますか?
国崎信江氏(以下、国崎):結論から言うと、あまり気にしなくてよいと思います。この色だから狙われやすいという根拠はありません。また、小学新1年生は交通安全のために黄色のランドセルカバーをつけることもあり、その場合ランドセルの色は見えません。
小学1年生が犯罪や交通事故に巻き込まれないよう気をつけたほうがよいことは確かです。7歳はいざというときの対処がまだできなくて、最も狙われやすい年齢なので。
「黄色いランドセルカバー」のメリット・デメリット
――目立つのはランドセルの色ではなくカバーの色なんですね。
国崎:7才が交通事故に遭いやすいため交通安全のために目立たせる、注意を引くなどの目的でランドセルに黄色いカバーつけることを推奨している学校も少なくありません。
しかし、黄色いカバーにはリスクもあります。1年生のときだけにつけることが多いため、不審者に狙われやすいとも言えるのです。完璧な防犯対策というのは難しいことですが、学校、保護者、地域が連携して子どもを守る環境と体制づくりを行うとともに、不審者から狙を声を掛けられにくい動作などもしっかり教えましょう。
危険な目に遭ったとき、行動できるようにする
――不審者から声をかけられにくい動作、とはどのようなものですか?
国崎:『いのちをまもる図鑑』でも紹介しましたが、足早に歩く、知らない人に声を掛けられても「大人に言って!」と言って逃げる、暴れている不審者を見かけたら目を合わせないなどです。危険な目に遭いそうになったときどう行動するかを知っておくことが大事です。
――ランドセルにつける防犯ブザーは、どのようなものを選ぶとよいでしょうか?
国崎:防犯ブザーは機能性を優先して選びましょう。公益財団法人全国防犯協会連合会推奨の「優良防犯ブザー」は音の大きさや形状などが基準をクリアしているのでおすすめです。
※本稿は、『いのちをまもる図鑑』についての書き下ろしインタビュー記事です。
国崎信江(くにざき・のぶえ)
危機管理アドバイザー。危機管理教育研究所代表
女性として、生活者の視点で防災・防犯・事故防止対策を提唱している。国や自治体の防災関連の委員を歴任。『10才からの防犯・防災』(永岡書店)や『おまもりえほん』(日本図書センター)などの監修もつとめる。