DXの導入にあわせて企業は事業の運営方法をアップデートしていますが、それと同時に、個々のマネージャーが管理方法をアップデートすることも急務となっているのです。それができなければ、せっかくのDXも期待されている結果を達成できないおそれが大きくなります。言い換えるなら、DXにそぐわない部下の管理方法がDXの足を引っ張ってしまう危険性があるのです。

 私が経営コンサルタントとして日本人マネージャーと数多く関わる中で、日系企業で働く外国人従業員や日本人の若手従業員から指摘されるのは、次のような職場管理の問題です。

◆部下の仕事の水準が低くてもその人に何も言わない、何も対策をとらない。部下は改善する必要があることに気づかず、状況が変わらない

◆部下に対して激しく怒ったり、怒鳴りつけたりする。結果として、部下(あるいはその周辺の従業員)は気分が落ち込んだり、ストレスを感じたり、うつになったりする

◆部下に明確な指示を与えない。そのため部下は何をすればよいかわからず、上司が期待している仕事をしない、できない

◆部下に仕事を任せず、仕事の詳細まで干渉したがる。部下は自主的に働けないので、受け身の姿勢になってしまう

◆部下のすぐれた仕事に対して感謝を伝えたり、称賛したりしない。結果として、できる部下は自分がよい評価を受けていないと思い、やる気を失ったり、転職してしまったりする

◆上記の問題の結果、部下の満足度と士気が低下し、仕事への熱意が失われている。そのため、最低限の仕事だけをしたり、ミスが重なったり、離職することにつながる可能性がある

部下の国籍関係なく
職場管理スキルが不十分

 部下が外国人の場合、このような問題が起こる原因として言葉や文化の違いがあることは確かですが、日本人部下でも同様の問題が起こることを考えると、日本人マネージャーの職場管理スキルが十分ではないことが、難しい状況が生じたときに露呈するからだと推測されます。

 私は外国人から「日本人のマネジメントスタイルはなんですか」「日本人はどんなマネジメント方法を好みますか」といった質問をよく受けますが、本当に日本的といえるような確立されたマネジメント方法はなく、日本人マネージャーの間でもばらつきが非常に大きいと考えています。