むしろ二極化しているといった方がよいかもしれません。部下に対していつも厳しく叱っているか、自分の意見をまったく口にしないほど無口かのどちらかの人が多いのです。
別の言い方をするなら、部下の仕事の細部にまで注意を払い、コントロールしようとする、アメリカではマイクロマネージャー(micromanager)と呼ばれるタイプか、部下の仕事を積極的にコントロールしようとせず放任する(hands-off)タイプか。このどちらか一方に偏ることが多く、その中間のタイプは少ないようです。
赴任者の場合、海外で仕事をする難しさとストレスが原因となって、マネージャーをそのような極端な傾向へと押しやってしまうのかもしれませんが、日本にいるマネージャーにもみられる傾向なので、原因はそれだけではないのでしょう。
日本人マネージャーは、総じて職務の知識や技能などのハードスキル(hard skills)にすぐれています。むしろ、業務をしっかりと遂行できるからこそ昇進し、マネージャーになれたのでしょう。そのような人をたくさん見てきました。それとは対照的に、ソフトスキル(soft skills)がとても弱いという点が目立ちます。
ソフトスキルとは、人間関係、意思疎通、指導、説得、動機づけ、評価などを上手に進めるコミュニケーションやリーダーシップの能力を指します。
日本人マネージャーは
ソフトスキルを磨くべき
仕事そのものではありませんが、どんな仕事においても必要となる能力です。アメリカでは、ソフトスキルはマネージャーにとって必須のスキルとされていて、ハードスキルよりむしろ重要と考えられていることもあり、異なる業界からソフトスキルにすぐれたマネージャーを中途採用することも頻繁にあります。
マネージャーの基礎スキルであるソフトスキルさえ身につけていれば、その分野に関する知識や技能はすぐに習得できる、ハードスキルは組織的にバックアップできるとみなされているからです。
海外で働いている日本人マネージャーに職場管理や部下管理の問題が目立つのは、このソフトスキルの基礎がしっかりできていないからではないでしょうか。ソフトスキルが不十分なために、部下の管理などで難しい局面に置かれたとき、非建設的な行動をとってしまうのだと思います。