企業と個人間の対話、上司との対話の深さが
キャリア自律意識に影響を与える

 人材不足が重大な経営課題になっている今、「充分なキャリア構築がされない」と判断され、社員が去っていってしまうことは、事業継続・成長の大きなリスクになります。では、個人のキャリア自律意識はどのようなときに高まるのか。キャリア自律意識に影響を与える企業側の要因を見ていきましょう。

 配置(異動)時の説明とキャリア自律意識の関係について聞いた調査(「企業情報の開示と組織の在り方に関する調査 2024」)では、「配置(異動)の際、私が希望するキャリアプランやスキル開発ポイントと整合的であるか確認があった」と答えた人の55.4%が「私はキャリア自律ができていると思う」と答えています。それに対し、「確認がなかった」人で、キャリア自律ができていると思うと回答したのは16.5%にとどまりました。

 同じように、「会社が私に向いているポジションを、私の強みや推奨理由を伝えた上で促してくれた」と答えた人の45.3%が「私はキャリア自律ができていると思う」と答えたのに対し、「促してくれなかった」人で、キャリア自律ができていると思うと回答したのは15.8%でした。

 同調査では、「仕事の社会的意義や価値を言語化できる」こととキャリア自律意識の高さには一定の相関関係があることがうかがえます。「自分の仕事の社会的意義や価値を言語化した群」の37.3%が「私はキャリア自律ができていると思う」と答えたのに対し、「言語化しなかった群」は13.0%でした。

 上司との対話内容とキャリア自律意識の関係においては、「上司が社外の視点でのアドバイスをしてくれた」「上司とスキルの言語化やモチベーションの源泉を探る対話をした」個人ほどキャリア自律意識が高くなっています。

 具体的には、「上司が社外の視点でのアドバイスをしてくれた」と答えた人の42.4%が「私はキャリア自律ができていると思う」と回答。「してくれなかった」と答えた人では、キャリア自律ができていると思う人は16.8%でした。