ドナルド・トランプ大統領が打ち出す政策に株式市場が一喜一憂しているなか、突如起こった「DeepSeekショック」。2025年もどうやら半導体株に注目が集まる状況は続きそうだ。そこで今回は、クイズを解きながら「株で勝つ技術」が身につくと話題の『株トレ』シリーズの著者、窪田真之氏に「半導体株に投資をする前に知っておきたいこと」について聞いた。

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半導体関連は今後も成長するセクター

Q. 半導体株に注目が集まっています。投資をする前に知っておくべきことはありますか?

 まず、大前提として半導体関連は成長セクターです。

 これからはデータの時代で、マイクロソフトやグーグルなど、データを支配する企業がますます強くなっていきます。

 そして、そのデータを記録したり、分析したりするのに必要なインフラをつくる基幹部品が半導体です。

 ですので、これから半導体産業が大きく成長していくのは間違いありません。

 そう聞くと「半導体株は今すぐ買ったほうがいいの?」と思われるかもしれませんが、そう簡単ではないところが半導体の面白いところです。

 半導体業界には、「シリコンサイクル」といわれる、好況と不況の波があって、良い時と悪い時を繰り返します。

 しかも、この波の振れ幅が大きいのが特徴です。

 株価が急騰する時もあれば、急落することもあり、長期的に大きく上がった半導体株でも、買いにいくタイミングが悪いと大損することがあります。

 しっかりと売買のタイミングを見計らわないと、とても危険なのが半導体株です。

「半導体株」はテクニカルが重要

 私がアナリストとして最初に担当したのが半導体セクターで、それ以来40年近くこの業界を見てきました。

 また、アナリストとしてだけではなく、ファンドマネジャーとして半導体株を実際に売買してきた経験もあります。

 アナリストとしてレポートを書く立場と、実際に売買する立場の両方を経験したうえで言えることは、私も含め半導体のシリコンサイクルを正確に予測できる人なんてほとんどいないということです。

 そして、そんな半導体株を私がファンドマネジャーとしてどのように売買してきたかといえば、チャートを見て、「強い買いシグナル」が出た時と、「強い売りシグナル」が出た時にそれに従うという方法でした。

 どん底状態から突然株価が急騰し始めたり、何の不安もない絶好調な状況から急に暴落が起こるのが半導体株です。

 未来を正確に予測するのは難しいので、「テクニカルのシグナルに従う」のが半導体株で勝つための鉄則になります。

 今後も半導体は注目セクターであり続けると思いますが、この業界に投資をするならば、その前にしっかりとテクニカルの知識をつける必要があるでしょう。

半導体セクターの二極化

 また今後、半導体に投資される方に知っておいていただきたい点として、半導体セクターの二極化があります。

 この二極化の理由は、AI半導体です。

 AI半導体で成功しているエヌビディアのような会社と、このブームに乗れていないインテルのような会社で二極化が起こり始めています。

 かつての半導体セクターは、良い時はどこも調子が良くて、悪い時はどこも悪いということが多かったです。

 しかし、今後はそうならない可能性があります。

 半導体セクターのなかでも、良い会社とそうではない会社の見極めが大事になってくるでしょう。