乗客からの
「ありがとう」が最高の報酬
伊丹空港で働く西谷は、2005年の入社。到着手荷物の取り扱いのほか、車いすで利用する乗客のサポート、時にはストレッチャー(患者を寝かせたままで移動できる車輪つきの簡易ベッド)の装着業務などを行っている。
西谷には忘れられない思い出がある。
それは2010年、JALが破綻した冬のことだ。早番勤務のとき、西谷たちの仕事は、
手荷物を返すのに使うターンテーブルのモップ拭きから始まる。乗客からは見えないが、飛行機から降ろされた手荷物を載せるために、ターンテーブルの一部は滑走路側に出ている。
伊丹空港は構造上、到着ロビーと駐機場の距離が近いために、ターンテーブルに粉じんがつきやすい。このため早朝のモップ拭きが日課となっている。
その日の早朝、羽田行きの初便の空席待ちをしているらしい利用者が、モップ拭きをして
いる西谷たちの前で歩みを止め、話しかけてきた。
西谷 到着ロビーの中でターンテーブルを磨いていたときのことです。早朝でまだ暗かったからでしょうか、お客さまが「出口はどこ?」と尋ねてこられたのでご案内をしたら、「何してるの?」と質問をされてこられたので、「(ターンテーブルを)掃除させていただいています」とお答えしました。
そうしたら、「こんな姿を想像していなかったよ、さすがJALだね。やっぱり(他社の初便でなく)次便のJALを利用するよ」と、笑顔で去っていかれました。思いがけずお客さまからかけていただいた言葉に胸が熱くなり、その場にいた仲間と思わずガッツポーズをしてしまいました。