③海外への送金(または受け取り)の経験がある

 3つ目の特徴は、海外への送金(または受け取り)の経験のある方です。海外にお金を送ったり、海外からお金を受け取ったりしたことがあると、かなり高い確率で調査対象になると考えていいでしょう。100万円を超える送金や受金があると、銀行から税務署に報告が上がります。送金理由が「親族への贈与」といった場合は、特に問題視されやすいです。最近は海外との取引について税務署が非常に敏感になっていますので、該当する方は気をつけてください。

④生前の高収入に比べて相続財産が不自然に少ない

 4つ目の特徴は、高収入だった方です。税務署は「KSKシステム」という国税総合管理システムを使って、その方が生前中どれくらい稼いでいたか、資産をどの程度持っていたかを把握しています。たくさん稼いでいたはずなのに、申告された相続財産が極端に少ないと「何か隠しているのでは?」と疑われやすくなります。

 実際には、被相続人が生前にたくさん使い切ってしまっただけでも、税務署側にはわかりません。使い道がギャンブルであろうが何であろうが自由ですが、「少ないな」と思われると、やはり調査対象になりやすいわけです。

 所得水準がそれほど高くないのに、たとえば3000万円、4000万円といったまとまったお金を持っているとします。自分で貯めたわけじゃないと疑われるわけです。「このお金、元々どこから来たの?」という話になります。

 たとえば25歳や30歳くらいの若い方が不動産を購入した場合、住宅ローンを組まないで抵当権が設定されていなかったりすると、「この年齢で現金一括払い?」と不自然に思われます。普通は銀行が貸し倒れを防ぐため抵当権を設定するんですが、それがないと「親から資金援助があったんじゃないか?」と推測されます。資金援助があれば本来は贈与の申告をする必要がありますし、親から借りているなら貸付金として申告しなければなりません。つまり、亡くなった方だけでなく、家族全体の財産構成までチェックされることがポイントです。

⑤所得・年齢に不釣り合いな財産を持つ親族がいる

 5つ目の特徴は、所得水準や年齢に見合わない財産を持つ親族がいるケースです。例えば、小さいお子さんの通帳に明らかに不釣り合いな金額が入っているとします。働いていない子供なのに、なぜこんなにお金があるんだろう、となるわけです。年間110万円を超える贈与には本来申告が必要ですし、それをしていなければ、子供名義の財産も相続財産として扱われ、後々問題になる可能性があります。名義預金と呼ばれるパターンですが、こういった不自然な財産の動きがあると、当然税務調査の対象になりやすいというわけですね。

 年末年始、相続について話し合った方もいらっしゃるかと思います。ぜひ参考にしてください。

(本原稿は『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】』の一部抜粋・追加編集を行ったものです)