仕事スイッチを入れるため
「ささいな楽しみ」を有効活用

 なんでもそうだが、始める時が一番たくさんのエネルギーを必要とする。自転車がいい例で、最初の漕ぎ出しをよいしょといかねばならないが、走り出せばそこそこのエネルギーで走行を維持することができる。また、脳の仕組みに関連して最初の数分に着手する重要性を伝える「ズーニンの法則」というのもあるのだが、これについては後述する。

 ともかく、最初が大変なのである。心も体も正月仕様になっているところになんとか仕事スイッチを入れていかねばならない。億劫に感じない方が難しい。

 しかしそこに「新しいバッグで初出勤」というささいな楽しみが加わることで、泥のごとく感じられそうだった仕事始めにパッと一輪花が咲いたような晴れやかさが生まれる。

 そして知っての通り、仕事なんぞ自転車のごとく、始めてみれば意外とスッと体になじんでくるものなのである。

 この女性のバッグは衝動買いの産物だが、冬休み明けの仕事始めという最難関を乗り切るために有効活用されたので、結果オーライといったところであろうか。

 新しい下着や肌着を用意して新年を迎える慣習もあるが、そこから発展した「新年から新しい服やアクセサリーを」という着想もしっくり来やすい。スーツや靴、あるいは何かガジェットでも、仕事始めをアゲるアイテムならなんでもいいので、その導入は簡単かつ効果的である。

 新年の抱負を掲げる人は多いが、目標達成率は1割を切っているといった話も耳にする。これに関しては研究やアンケートによって8%だったり50%を超えていたりとさまざまなので、一概に「だいたい○○%」と言い切ることはできないのだが、「そう簡単に実現されるものでもない」という事情は世界共通のようである。

 しかし「新年の抱負」と掲げるといかにも構えていて難しそうな目標に見えるが、ちょっとした新しい習慣を付け加えてみるくらいなら気安く始められるかもしれない。