目標達成率を超大幅に上げる「if-thenプラニング」と呼ばれる、アメリカで開発・研究された心理学の手法がある。これは「if~もし○○になったら~」「then~△△をする~」とあらかじめ決めておくものである。
これによって行動が自動化され、実践されやすくなる効果がある。人は「○○しよう」と決心して行動を起こすより、あらかじめ決められた行動を実践する方が、より少ないエネルギーでその行動に集中して取り組めるからである。
たとえば「今年は英語の勉強をする」という目標をif-then流に落とし込むなら、「(if)電車に乗ったら、(then)英語の勉強をする」となる。
もっと達成率を上げるなら、ifもthenも簡単にするほどいいので、then部は「英語の勉強」ではなく「英語のアプリを立ち上げる」でよい。「英語の勉強」となるとやや気構えが必要だが、アプリを立ち上げるだけならより気安い。そしてアプリさえ立ち上がってしまえば、わりとそのあとも勉強するものである。
これはズーニンの法則が関わっている。「初動4分の法則」とも呼ばれるその名の通り、何か億劫なことでも最初の4分だけ取り組めばやる気が後からついてくる――という人の性質を利用した方法である。
人が何か作業に取り掛かると、脳内ではやる気をつかさどるドーパミンというホルモンが分泌される。これがその後のやる気を作ってくれるので、とりあえず最初の一歩の超簡単なところだけ自分が意志の力でやっておいて、あとはドーパミンでギンギンになっているであろう未来の自分に任せる……というのがハードルの低い勉強・仕事法であり、習慣化のコツである。
新しい習慣を取り入れる際には
「否定」より「肯定」で
また、新しい習慣を取り入れる際は否定より肯定の形が望ましい。禁煙を目指すなら「タバコを吸わない」でなく、「タバコを吸いたくなったら飴をなめる」などに置き換えるのである。
「吸わない」という我慢は反発心を生み積み重なるが、「飴をなめる」という主体的な行為そのものに我慢はない(飴をなめることの真の意図である「禁煙」に我慢はあるものの)。いわば、ちょっと言い方を変えて自分をだまして、習慣化定着という目標を達成しやすくするのである。
以上、これらのことをどれか取り入れてみれば、正月明けの憂うつが少しマシになるかもしれない。幸いなことに今年の年末年始は再度9連休が到来するそうなので、その際に試されるのもよろしかろう。