そこで目指すのが、外注と内製を組み合わせたハイブリッド型の開発体制だ。2027年までに、内製開発を推進する専門部門の立ち上げ、さらに、新たな技術を行政サービスに導入していくための研究・実証環境の整備も進める。すでに一部のサービスでは、アジャイルな内製開発を始めているという。
複業で行政DXに挑戦するという新たな選択肢
人材面でも、新たな取り組みが始まっている。特筆すべきは、複業可能なデジタル人材と都内自治体をマッチングする「GovTech東京パートナーズ」。各自治体が個別に人材を確保するのではなく、都で1つの人材プールを作り、必要に応じて人材を紹介する仕組みだ。
デジタル人材本部長の小島隆秀さんは、「行政課題の解決に意欲はあるけれど、今の民間企業を辞めてまではできないというデジタル人材はたくさんいる。そこで、週1日以上の複業という形で参画できる仕組みを整備した」と説明する。すでに300人以上が登録し、10件ほどのマッチング事例も生まれているという。
小島さん自身、GovTech東京設立時の初の民間人材だ。それまではIT業界を中心に、リクルート、グリーなどの大手やスタートアップで人事・新規事業開発に従事していた。当初は民間での転職を考えていたものの、どこも何となく将来が想像できてしまってワクワクしない。そんな中、GovTech東京に出会った。
「民間企業では当たり前のことが、行政では当たり前じゃない。何が起きるか分からない、立ちすくんでしまうような領域で自分の腕を試したいと思いました。一人の都民として、また子を持つ親として、『未来に負債は残したくない』という思いもありました。批評家ではなく当事者として課題解決に挑めるチャンスだと思い、飛び込みました」(小島さん)